産業廃棄物収集運搬業許可には、5年の有効期限があります。

この有効期間が満了する前に更新手続きをしないと許可は失効してしまいますが、許可を取得したからといって、当然に更新ができるというわけではありません。

更新を完了するには要件を満たす必要があるのですが、この要件に関しては注意しなければならないポイントがいくつかあります。

このポイントに留意しないと、うっかり許可を失効してしまうことになりかねません。

この記事では、更新手続きを行う上で、よくありがちな疑問と注意点を解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

更新手続きの注意点

前述のとおり、許可を取得すれば、そのままトントン拍子で更新が完了するわけではありません。

要件や更新の時期、事前の手続きなどいくつか留意しなければならいことがあります。

 

更新時に注意したいポイントは大まかに分けて次の3つです。

1、有効期間の満了日までに必ず更新の手続きをする。

2、重要事項に変更がある場合、変更届を提出する

3、許可の要件は満たせている状態か(特に経理的基礎要件と講習会の受講)

 

1つずつ確認していきましょう。

 

有効期間の満了日までに更新の手続きが必要

産業廃棄物収集運搬業許可の有効期限は5年です。

許可証に記載されている有効期限日を1日でも過ぎてしまうと更新はできません。再度、新規申請が必要になるので注意が必要です。

特に注意したいのは、有効期限日が土日など休日になっている場合です。この場合、土日は役所がお休みですので、前日の平日までに更新の手続きをする必要があります。

 

土日明けの次の平日まで申請期限が伸びるというような便宜は図ってくれないので注意が必要です。

通常、更新申請は、期限の3ケ月前から受け付けてもらえるので、早めの申請を心掛けましょう。

更新申請を行う場合、承認がすぐに下りず、審査の途中で許可の有効期間が満了してしまうことがあります。

しかし、審査中の場合は、従前の許可の効力は切れることがなく、審査が終了するまでの間は有効です。

ただし、その間に排出事業者に許可証の提示を求められた場合、説明を要したり、更新申請書のコピーを提出したりと余計な手間がかかるので、申請はできるだけ早めに行いましょう。

 

変更届は提出しているか?

次の事項に変更がある場合は、変更があったときから10日以内に、変更届を提出しなければなりません。

この変更届を提出していないと、更新の手続きができないので、提出期限が過ぎている場合でも必ず提出してください。また、更新申請時に提出していなかったとなると役所担当者の心証も決してよくはありません。

  • 住所の変更
  • 氏名又は名称の変更
  • 法定代理人
  • 法人の役員、政令使用人の変更
  • 5パーセント以上の株主や出資者の変更
  • 事務所及び事業場の所在地の変更(駐車場の変更を含む)
  • 運搬車両の変更(変更とは運搬車両の追加、減車を含む)
  • 事業の一部廃止

上記以外の事項に変更がある場合、変更届ではなく、変更許可申請という手続きが必要になることがあります。

変更届と変更許可申請についてはこちらの産業廃棄物収集運搬業許可|変更届だけでなく変更許可申請も必要で詳しく解説しています。

 

許可の要件は満たせているか?

産業廃棄物収集運搬業許可には、5つの要件があります。

要件は、新規申請時だけでなく、許可取得後も維持し続けなければなりません。

つまり、更新時にもすべての要件を満たしている必要があります。

ただし、5年も経てば、要件が満たせなくなっていたということもよくあります。

更新時によく問題になるのが、経理的基礎要件と講習会の受講です。

1つずつ確認してみましょう。

経理的基礎要件

そもそも要件は新規申請の際に満たせていたものですので、すぐに維持できなくなるとは考えにくいですが、経理的基礎要件に関してはクリアできなくなることが少なくありません。

実際、更新申請の際にはこの経理的基礎要件がよくネックになります。

経理的基礎というのは、財務基盤のことですが、自社の経営状況によっては債務超過に陥っていたということもよくあります。

この財務基盤が悪い = 債務超過になっていると要件を満たせず、更新は難しくなります。

 

ただし、自治体によってローカルルール(審査基準が違う)がありますので、財務基盤が悪くても追加の書類を提出すれば大丈夫ということもあります。まずは自治体の窓口に確認することが必要です。

経理的基礎要件についてはこちらの産業廃棄物収集運搬業許可 | 経理的基礎要件を徹底解説!で詳しく解説していますので参考にしてください。

 

講習会の受講

講習会は新規の際にも受講しましたが、更新の際にも改めて受講しなければなりません。

講習会に関しては「何がネックになるの?」と思った人もいるかもしれません。

しかし、新規申請と同じで更新申請をするには講習会の修了書が必要になります。

 

何が言いたいかというと、この修了書がないと、更新申請が受け付けてもらえないということです。

 

また、コロナウィルスの影響により講習会はオンラインでの受講となったものの、受講後の試験に関しては会場で受けなければなりません。

毎月、各都道府県で開催されるわけではありませんし、定員数も限りがあるので、必ず希望の会場・日時に受験できるとは限りません。

こちらから試験会場・日程を確認できます。

 

そして、修了書が届くのは、試験を受けてからおよそ2週間後になります。

 

つまり、有効期限が切れるギリギリに試験を受けると修了書が手元に届くのが、有効期限が切れた後になるという状況が発生してしまいます。

有効期限が切れた後に修了書が届いても、当然更新申請はできません。

ですので、講習会に関しては新規申請の時以上に、スケジュール管理と早めの行動が必要となります。

講習会は公益社団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が開催しています。

新規申請のオンライン講義は11.5時間ですが、更新の場合は5時間です。

また、新規申請の時の受講者が受講する必要はありません。法人であれば、役員なら誰でも受けることができます。

※講習会についてはこちらの産業廃棄物収集運搬業許可 | 講習会を受けなければ何も始まらない!で詳しく解説しています。

新規の修了書の有効期限はで5年間でしたが、更新の場合は2年で設定している自治体が多いです。

そうなると、許可の有効期間内で講習会を受け直すということが必要になりますので、しっかりと期限管理を行ってください。

 

まとめ

いかがでしたか?

有効期限が1日でも過ぎると許可は失効してしまいますが、許可を取り直すまでその間は当然営業ができなくなってしまいます。

複数の自治体に許可を持っている人は、許可の期限管理が難しくなるので注意が必要です。

そして、更新時には要件を満たしておかなくてはなりませんが、特に注意したいのが経理的基礎要件と講習会の受講です。

特に講習会の受講に関しては、講習会の修了書が有効期限が切れた後に届くということは何としても避けたいところです。

また、この2つの要件以外にも運搬施設(運搬車両や容器など)や欠格要件にも必ず留意が必要です。

特に法人の場合、役員の1人が欠格要件に該当していたということもありますので、再度確認が必要です。