2011年の廃棄物処理法の改正によって排出事業者の現地確認が努力義務となりました。

法律で厳密な履行義務が定められているわけではないのですが、近年、排出事業者の現地確認が積極的に行われている傾向にあります。

排出事業者は不適正処理など産業廃棄物処理に潜む様々なリスクを回避する必要あります。

そのため、特に新規で委託をする際は、シビアな目線で現地確認が行われます。

この現地確認で信頼を得られないと処理業者として選ばれることはありません。

この記事では、現地確認でよくチェックされがちな4つの項目にしぼって解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

現地で行われる4つの確認事項

排出事業所により確認事項は異なりますが、この記事ではよく確認されがちな次の4つの項目を取り上げました。

  1. 保管状況
  2. 適性な処理方法の実施
  3. 情報公開の姿勢
  4. 財務諸表

上記を確認するにあたって以下の書類が求められることがあります。

  • 許可証の原本
  • 許可申請書(図面を含む)
  • 処理フロー図
  • 二次委託先との契約書
  • 財務諸表

 

現地確認で最も重視されるのはやはり保管状況

現地確認で最も重視されるのはやはり保管状況です。

処理業者の経営状態は保管状況にストレートに反映されます。

不適正処理の原因はやはり経営難によるものです。

経営が悪化するにつれて、処理不全・手抜き溜めこみ不法投棄の順に不適正処理が行われます。

これは、不適正処理を行えば行うほど簡単に利益につながる業界特有の構造があるからです。

こういったことが行われていないか、まず保管状況を現地で確認されることが多いです。

処理不全や溜めこみがないことを証明するために帳簿から処理後の残さの出荷記録を確認してもらうことをお勧めします。

その際は、受託量に対して廃棄物が二次処理先や最終処分先にバランスよくスムーズに流れていると分かることが重要です。

未処理物の状況

保管場所には保管量上限の示す掲示がされていますが、未処理の廃棄物が保管量の上限を超えているかどうかもチェックされることが多いです。

未処理物が多いと処理が上手く回っていないという印象を与えてしまいます。

 

適性な処理方法が行われているか

委託する産業廃棄物と許可証に記載されている品目を確認するだけでは、本当に適性に処理されているかどうか分かりません。

例えば同じ廃プラスチック類でも処理施設の仕様によっては処理できない場合があるからです。

ですので、廃棄物が処理施設で本当に適切な処理ができるかどうか確認されることがあります。

 

情報公開の姿勢はどうか

廃棄物の処理に関して信頼を得るには、やはり廃棄物の処理に関して積極的に情報を公開していることが重要です。

そのため、現地確認の際には、「処理フロー図」、「帳簿」、「マニフェスト」などの提示を求められることがあります。

「帳簿」や「マニフェスト」では、廃棄物の保管や記録状況を確認できますし、「処理フロー図」では資料をもとに現地確認を行えば、処理フローが明確になり、廃棄物が適切に処理できていることを確認できます。

 

財務諸表の提出

ホームページで公開をしていない場合は、財務諸表の提出を求められることも少なくありません。

前述のとおり、経営難が不適正処理を引き起こす原因となるからです。

過去の不法投棄事件をみても、その動機の8割が処理費の節減です。それだけ財務状況が不適正処理に直結しやすい業界だということです。

 

その他の注意点

他にもよく調べられがちな項目をピックアップしました。従業員や事務所の様子も案外きっちり見ているものですので、注意してください。

施設の状況について

・許可されたもの以外の廃棄物がないか

・施設・設備が損壊していないか

・整備・清掃が行き届いているか

・悪臭がしていないか、害虫が発生していないか

・汚泥の流出はないか

従業員の教育水準について

・従業員の振る舞いはどうか

・挨拶はできているか

・身だしなみはきちんとしているか

事務所の様子について

・雰囲気はどうか

・整理・清掃が行き届いているか

 

まとめ

現地確認は努力義務ですので、法律で厳密に実施内容が定められているわけではありません。

そのためどうしても、排出事業者によって確認事項とその「質」に違いが出てきます。

この記事で紹介した確認事項はよくありがちなオーソドックスなものです。

排出事業者によっては現地確認に関してこの記事で紹介したよりも少ないということもありますし、逆にもの凄く高度な現地確認が行われるかもしれません。

少なくとも、この記事で紹介した確認事項を満たしていることを進んで排出事業者に示すことができれば、他社との差別化を図ることができるのではないでしょうか。