産業廃棄物収集運搬業を営むには帳簿をつける必要があります。

これはマニフェストや委託契約書だけでは産業廃棄物の流れを正確に把握することが難しいからです。

しかし、何をどこまで記載するのか、また、帳簿の保存に関しての決まりなど、よく分からないという人も多いと思います。

この記事では帳簿の記載事項や記載期限、帳簿の保存方法まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

収集運搬を受託した場合の記載事項と記載期限は?

マニフェストを交付されたら記載すること

マニフェストを交付されたら、その受け取り日から10日以内に以下の3点を帳簿に記載します。

・マニフェストの交付者

・マニフェストの交付年月日

・交付番号(マニフェストの固有番号のこと)

 

その他、毎月末までに記載すること

毎月末までに以下の事項を記載します。

・収集運搬をした年月日

・受け入れ先ごとの受入量

・運搬方法および運搬先ごとの運搬量

・積み替えまたは保管を行う場合には、積み替えまたは保管の場所ごとの搬出量

※前月に収集運搬した内容を、当月の末日までに記載するという意味です。

例えば、1月に運搬したものについては、2月の末日までに記載する必要があります。

 

帳簿の記載例

帳簿の様式は特に決められていませんので、前述の項目を記載していれば、独自の様式で自由に記載してもかまいません。

以下に帳簿の記載例を紹介します。

※クリックすると拡大表示されます。

 

マニフェストを使う

上記の法令で定められた内容が記載されていれば、マニフェストを帳簿として保存することもできます。

ただし、この場合、取引の順にとじ合わせておく必要があります。

もし、マニフェストに法令で定められた記載事項が全て記載されていない場合でも、不足事項を記載することで代用できます。

これは、電子マニフェストを利用している場合でも同じです。電子マニフェストから出力できる受渡確認票に法令で定められた内容が記載されていれば大丈夫です。

 

帳簿の保存方法と保存期間は?

帳簿は本社のみではなく、事業所ごとに備えなければなりません。

帳簿は1年ごとに閉鎖し、新しい年とともに、新たに帳簿を作成します。

閉鎖した帳簿は、閉鎖後5年間、事業所ごとに保存しなければなりません。

 

まとめ&罰則規定に注意

前述のとおり、帳簿には特に様式が決められていませんので、以下の内容が記載されていれば、用紙や書式など問わず自由に作成してもかまいません。

記載事項 記載期限
収集または運搬年月日 毎月末までに
マニフェストごとの交付者氏名や名称、交付年月日および交付番号 交付日より10日以内
受入先ごとの受入量 毎月末までに
運搬方法および運搬先ごとの運搬量 毎月末までに
積替えまたは保管を行う場合には、積替えまたは保管の場所ごとの搬出量 毎月末までに

また、廃棄物処理法は以下に該当する場合は30万円の罰金に処することを定めています。

  • 帳簿を備えていない
  • 法令の記載事項を記載していない
  • 虚偽の記載をした

特に注意したいのは、帳簿をうっかりつけ忘れることです。

廃棄物処理法による罰金刑は欠格要件に該当してしまいますので、許可を取り消されます。

帳簿のつけ忘れは知らず知らずのうちに法律違反をしてしまう典型です。

いつ立ち入り検査があってもいいように、帳簿の記載は慎重にしてください。