再委託とは、排出事業者から受託した廃棄物の運搬・処理を他の業者に委託することです。

建設業などでは元請けから下請けへと当たり前のように再委託が行われますが、廃棄物処理法では原則として再委託は禁止されています。

しかし、「原則」という言葉があるということは、「例外」のケースもあります。

この記事では、例外的に再委託が認めらるケース、再委託が認められた場合の手順を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

なぜ再委託が禁止されているのか?

前述のとおり、廃棄物処理法は原則として、再委託を禁止しています。

理由は主に次の2つです。

1、廃棄物処理の責任の所在が不明確になる

2、不法投棄や無許可営業などの不適正処理を引き起こす可能性がある

再委託が禁止されている以上、排出事業者は運搬・処理業者の能力を的確に把握する必要があります。※扱える産業廃棄物の品目(種類)や車両数、施設の能力

また、産廃業者は自分の能力に見合った、廃棄物の種類・量の契約を結ぶ必要があります。

 

再委託が認めらるケースは?

廃棄物処理法では、他人に処理を委託せざるを得ない緊急の状況が生じた場合に限って、再委託を認める旨が規定されています。

この緊急事態とは、例えば、収集運搬車が故障してしまったり、処理施設に不具合があって、他の業者に委託をせざるを得ないケースです。

この場合、排出事業者から、あらかじめ文書で承諾を受ける必要があります。

注意点としては、再委託は一度しか使えませんので、さらに別の業者に再委託をする再再委託は認められません。

 

再委託をするには?

産業廃棄物の再委託は、まず次の2つのことが必要です。

1、排出事業者と委託契約を結んだ運搬業者または処理業者が代わりに運搬・処理をする業者と再委託契約をする。

2、排出事業者の承諾を受け、その承諾書をもらう。

 

再委託の具体的な手順

1、委託契約を結んだ運搬・処理業者は再委託の承諾を得るために、排出事業者に再委託承諾願を提出する。

2、排出事業者から再委託承諾書をもらう。

3、承諾書を得た、運搬・処理業者は排出事業者との委託契約事項が記載された文書(コピーでも可)を代わりに運搬・処理する産廃業者に交付する。

4、最初の運搬・処理業者と代わりに運搬・処理をする産廃業者と間で再委託契約を結ぶ。再委託契約書の作成が必要。

5、契約後、排出事業者はマニフェストと産業廃棄物を代わりに運搬・処理する産廃業者に引き渡す。

※マニフェストの氏名または名称等、必要事項を訂正が必要。

6、産業廃棄物の運搬・処理を終えた代わりの産廃業者は処理済みの報告を行い、マニフェストを返送します。

 

まとめ&罰則規定について

あらかじめ、書面で排出事業者から承諾を受ければ、再委託は可能ですが、承諾さえ得られれば、自由に再委託をしてもいいというものではありません。

廃棄物処理法は、何も異常がないのに再委託を認めていません。

再委託は収集運搬車が故障してしまったりなど、緊急の措置対策で、1度限り使えるものです。

また、再委託の禁止違反の罰則の対象となり、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金またはこれの併科が適用されます。

このホームページでは廃棄物処理法の厳しさを何度も説いていますが、例え罰金刑であっても、許可が取り消される可能性があります。

産廃業者は知らず知らずのうちに、違反をしてしまわないように、社内のコンプライアンスを徹底し、罰則について深い理解が必要です。