あなたは産廃関連の事業を運営しており、何か違反行為をしてしまっているのではないか、または何か違反行為をしてしまい後ろめたい気持ちがあるのかもしれません。
廃棄物処理法は非常に厳しい法律で、知らず知らずのうちに違反行為をしていたということも珍しくありません。
不安な気持ちがあるのは、廃棄物処理法の全体像がつかめておらず、またどのような罰則があるのかつかめていないからです。
この記事では義務違反を罰則と合わせてひとまとめにし、必ずおさえておきたい注意点とポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
違反行為と罰則のまとめ
罰則の重い順に代表的な違反行為と罰則を以下にとりまとめました。
※両罰規定とは例えば、従業員が違反行為をした場合、その従業員だけでなく、その属する法人や個人事業主にも罰則を科すことをいいます。また、併科というのは懲役と罰金、同時に両方の刑罰を科すことをいいます。
5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金又はこの併科
・無許可営業
・営業許可の不正取得
・廃棄物処理業の事業範囲の無許可変更
・事業範囲の変更許可の不正取得
・事業停止命令違反、措置命令違反
・無許可業者への処理委託
・名義貸しの禁止違反
・廃棄物処理施設の無許可設置
・廃棄物処理施設の設置許可の不正取得
・廃棄物の無確認輸出(未遂罪を含む)
・廃棄物の投棄禁止違反(未遂罪を含む)
・廃棄物の焼却禁止違反(未遂罪を含む)
※太字の違反は法人の両罰規定が3億円以下の罰金となっています。
特に問題になるのが不法投棄です。
例えば、従業員が出来心で不法投棄をした場合、その従業員は罰則を受けることになりますが、不法投棄は両罰規定の対象です。
この場合、その従業員が所属する法人は直接不法投棄に関わっていなくても罰則を受けることになります。
また、たとえ30万円の罰金刑でも、罰金を受けると産業廃棄物収集運搬業許可の欠格要件に該当してしまうので、許可を取り消されてしまうことになります。
これが知らず知らずのうちに犯してしまう違反行為の典型です。
3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金又はこの併科
・廃棄物処理の委託基準違反、再委託禁止違反
・施設改善命令・使用停止命令違反、改善命令違反
・施設無許可譲受け、無許可借受け
・無許可で廃棄物を輸入
・輸入の許可条件違反
・不法投棄・不法焼却目的の収集運搬
6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金またはこの併科
・欠格要件に該当しても届け出をしない、建設廃棄物の保管場所の届出をしない
・廃棄物処理施設の変更許可後、使用前検査を受けずに施設の利用をする
・マニフェストを交付しない、または虚偽の記載をして交付をした
・運搬受託者がマニフェストの写しを送付しない又は虚偽記載をして送付した
・マニフェストを処分先に回付しなかった収集運搬業者
・マニフェスト、その写しを保存をしなかった(5年間)
・虚偽の記載をしてマニフェストを交付した排出事業者(中間処理業者含む)
・電子マニフェストを使用するために、情報処理センターに虚偽の登録をした
・行政からのマニフェストの規定遵守の勧告に従わない、またはその勧告の措置命令にも従わない
・土地の形質変更の届出をせず、又は虚偽の届出をした
・廃棄物処理施設で事故が発生したが、応急的な措置をせず、さらに措置命令に違反した施設の設置者
30万円以下の罰金
・帳簿の不備、規定事項の未記載、虚偽記載、帳簿の保存義務違反(対象者:産廃収集運搬業者、産廃処分業者、産廃処理施設設置業者など)
・変更届をしない、又は虚偽の届出をした(対象者:産廃収集運搬業者、産廃処分業者、産廃処理施設設置業者など)
・廃棄物処理施設の設置者が、施設の維持管理記録を作成をしなかった、または虚偽の記録をした
・行政からの報告聴衆に対して従わない、又は虚偽の報告をした
・産業廃棄物処理施設の設置事業者が、その事業所に産業廃棄物処理責任者や技術管理者をおかなかった
・立入検査の拒否、廃棄物の収去の拒否、妨害、忌避
産業廃棄物収集運搬業者・処理業者には帳簿の記載・保存義務があります。
これもうっかり忘れてしまうなど、知らず知らずのうちに違反行為をしてしまう典型です。
いつ立ち入り検査があってもいいように帳簿に関しては細心の注意を払ってください。
どの罰則を受けても欠格要件に該当してしまう
廃棄物処理法は非常に厳しい法律です。
廃棄物処理法の欠格要件には「廃棄物処理法に違反し、罰金以上の刑の処罰を受けて5年を経過しない者」とあります。
つまり、上記の一番軽い罰金の処罰を受けても欠格要件に該当し、産業廃棄物収集運搬業許可が取り消されるということです。
また許可が取り消されると欠格要件に該当し、取消から5年間は新たに許可が取得できなくなります。
これは廃棄物処理法の欠格要件に「許可を取り消されてから5年を経過しない者」とあるからです。
欠格要件についてはこちらの産業廃棄物収集運搬業許可 | 初心者向けに欠格要件のポイントを解説!で解説しています。
まとめ&対処方法
・両罰規定というものがあり、従業員だけでなく、法人や個人事業主も罰則対象
・不法投棄などの両罰規定はもっとも重く、3億円以下の罰金が科される
・3万円の罰金刑でも許可を取り消される可能性がある
・許可を取り消されると取消から5年間は新たに許可が取得できない
廃棄物処理法に違反しない対処法として、当然ですが、まずは適切に許可を取得することです。
そして、マニフェストの交付・管理を確実にし、再委託や名義貸しはしてはいけません。
また、産廃収集運搬業者・処理業者には帳簿の記載・保存義務があります。
行政が立ち入り検査に来ることもあるので、うっかり帳簿のつけ忘れのないようにしてください。
また前述のとおり、両罰規定がありますので、不法投棄など従業員の教育を徹底することが重要です。