廃棄物の管理現場で専ら物を扱おうとする場合、曖昧な部分や疑問点がいくつか浮かんでくると思います。
この記事を読んでいる人は産業廃棄物の運搬業者や処理業者、排出事業者まで様々だと思いますが、およそ以下のような疑問があるのではないでしょうか?
- 4品目に該当すれば本当に運搬・処理業の許可はなくてもいいの?
- 廃棄物なのか?
- 契約書やマニフェストは必要ないの?
この記事ではこのような疑問を中心に専ら物についての知識を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
専ら物とは?
専ら物とは古紙、くず鉄、空きビン類、古繊維の4品目を指し、「もっぱら再生利用の目的となる一般廃棄物、産業廃棄物のことをいいます。
要はこの4品目がリサイクル目的で回収される場合は専ら物と呼ばれることになります。
一般的に、古紙と古繊維は一般廃棄物、くず鉄と空きビン類は産業廃棄物となります。
収集運搬や処理業の許可はいらないの?
専ら物は廃棄物ですが、廃棄物処理法の特例措置として以下に該当する場合、許可は必要ありません。
・専ら再生利用の目的となる廃棄物の収集または運搬のみを業として行う者
・専ら再生利用の目的となる廃棄物のみの処分を業として行う者
ここで注意したいのは、許可が不要になるのは専ら物のみを扱う事業者に限定されるということです。
他の廃棄物も併せて一緒に取り扱っている事業者は許可が必要になります。
前述の4品目に該当すれば、それだけで許可が不要になるということではありません。
要は「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみを扱う事業者」=「専ら再生事業者」に対する特例措置だということです。
マニフェストが不要になる
専ら物を扱う場合、専ら再生事業者の特例としてマニフェストの交付が不要になります。
記録と終了報告は必要
通常、委託量の記録と終了報告はマニフェストで代用しているので必要ありませんが、マニフェストを使用しない場合、委託量の記録と終了報告が別途必要になります。
専ら物を運搬・処理業者に引き渡す際、委託契約書が必要になりますが、委託契約書には法定記載事項として「業務終了報告を受ける」旨の記載が必要です。
つまり、排出事業者責任として専ら再生事業者から業務終了報告を受ける義務を果たさなくてはなりません。
マニフェストが不要なので、よく誤解されがちですが、専ら物を引き渡したらそれで、「はい、おしまい。」ではありません。
委託契約書は必要
専ら物を扱う場合、許可とマニフェストが不要になるのでよく誤解されがちですが、委託契約は委託契約書で交わす必要があります。
前述のとおり、委託契約書には「業務終了報告を受ける」旨の記載が必要です。
報告は書面である必要はありませんが、伝票や請求書などでもいいので書面で受けることをおススメします。
また、再生事業者登録を受けていれば、その証明書を委託契約書に添付する方がいいと思います。
これは自治体が審査する際、専ら物の取り扱いに問題がないという判断材料になるからです。
まとめ
専ら物を扱う際のポイント
- 委託契約書が必要
- 専ら物のみを収集運搬する事業者であること
- 専ら物のみを処分する事業者であること
- 委託量の記録が必要
- 業務終了報告が必要
いかがでしたか?
近年、都道府県によっては前述の4品目に該当しない廃ペットボトルが再生利用指定として専ら物のような扱いになっています。
例えば、東京都がそうです。この場合、もちろん許可やマニフェストは必要ありません。
今後、都道府県によっては廃ペットボトルを専ら物のような扱いにすることも考えられますので、チェックしておくといいでしょう。