産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには要件の一つである経理的基礎を満たす必要があります。

この記事を読んでいる人は経理的基礎要件を満たせているのか気になっていたり、「赤字決算だけど何とかならないかな?」と思っているのではないでしょうか?

この記事では経理的基礎要件の判断基準や証明書類を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

経理的基礎の証明書類は?

経理的基礎があるとは利益が計上できていて、債務超過ではないことをいいます。要は事業を継続していくだけの財務基盤があるかということです。

これは書類で債務超過でないことや利益が計上できていることを証明し、事業を継続していけるのかを証明しなければなりません。

主に以下の書類で証明します。

法人

  • 直近3年分の決算書(賃借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)
  • 直近3年分の納税証明書(法人税)

個人

  • 資産に関する調書
  • 直近3年分の納税証明書(所得税)

ただし、経理的基礎要件の判断基準は自治体によって異なりますので、提出書類も多少異なってきます。

経理的基礎の具体的な判断基準は?

前述のとおり、経理的基礎があるとは利益が計上できていて(または自己資本比率が1割を超えていること)、債務超過でないことをいいます。

それぞれの判断基準をみていきましょう。

利益が計上できていることを確認するには?

利益が計上できていることを満たすには直前決算で純利益を計上している必要があります。これを確認するには損益計算書を見れば分かります。損益計算書の一番下に当期純利益という項目があります。そこがマイナスになっていなければ大丈夫です。

また、直前決算で当期純利益がマイナスでも直近3年の純利益を平均した値がマイナスになっていなければ大丈夫です。

自己資本比率を計算する

自己資本比率とは総資本(総資産)のうちどの程度が自己資本によってまかなわれているかを示す指標のことです。

許可申請では自己資本比率が1割を超えていればいいことになります。以下の計算で10%を超えている必要があります。

自己資本比率=純資産÷総資本(負債+純資産)×100

これは貸借対照表の負債と純資産の値を当てはめて計算します。

債務超過とは?

債務超過とは資産より負債が大きくなり、仮に資産を全部使い切っても負債を全て返済しきれない状態のことを言います。

貸借対照表で純資産の数値がマイナスになっていれば、債務超過に陥っていることになります。

前述のとおり、経理的基礎要件の判断基準は自治体によって異なります。
何故こういうことが起こるのかと言いますと、廃棄物処理法自体がグレーな法律=曖昧な表現の多い法律だからです。
こうなるとどうしても主観的に解釈せざるを得ません。 先程の利益の計上の部分で言いますと、直近3年のうち、1期だけでも純利益を計上できていれば大丈夫だと解釈する自治体もあります。
複数の都道府県で申請をする事業者様もいるかと思いますが、申請をする際は各自治体のローカルルールをきっちり理解してください。不明な部分があれば各自治体の窓口に必ず問い合わせましょう。

財務状況が良くない場合でもすぐに諦めない

仮に財務状況が良くない場合でもすぐに諦める必要はありません。この場合、収支計画書や中小企業診断士が作成した診断書などの追加書類を提出することで要件を満たせる場合があります。

収支計画書はこれからどう改善していくのかを落とし込んで自分で作成しますが、経営診断書は中小企業診断士や公認会計士に作成してもらわなければなりません。要は許可を与えても問題がないということを専門家に証明してもらうわけです。

※収支計画書か経営診断書なのか求められる書類は自治体によって異なります。

事業開始3年未満でも申請できる

必要書類に直近3年分必要とのことでしたが、3年経っていなくても、またこれから新規で事業を始める方も許可申請は可能です。

その場合は3年分の決算書類を提出できないことの理由書を提出することになります。決して事業開始から3年経たないと申請できないわけではありません。

まとめ

  • 経理的基礎を有するとは利益が計上できていて、債務超過でないことをいう。
  • 証明書類は主に直近3年分の決算書と直近3年分の納税証明書が必要。個人の場合は資産に関する調書と直近3年分の納税証明書が必要。
  • 財務状況が良くない場合でも、収支計画書や中小企業診断士による診断書などで許可を取得できる場合もある。
  • 事業開始3年未満でも新規でも申請はできる。  

経理的基礎要件の判断基準は自治体によって異なります。求められる書類も当然違ってきます。

極端に言うと、よっぽど財務状況が悪くない限り、収支計画書などの追加資料は全く求めないという自治体もあります。

それぞれ独自のローカルルールがありますので、複数の都道府県で申請をする場合はとくに注意が必要です。