会社の設立時に必要となる定款(ていかん)は、会社の憲法と呼ばれ、会社を運営するのに必要なルールを定めたものです。
この定款は、許可申請の際に必ず必要となる添付書類ですが、提出の際に疑問に思うところはやはり事業目的の記載ではないでしょうか?
また、すでに会社を設立していれば、事業目的の如何に問わず、定款の変更が必要となるケースも少なくありません。
この記事では、定款の事業目的の記載と定款の変更が必要となるケースについて解説しています。また、原本証明など定款を提出する際の注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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定款の事業目的について
産業廃棄物収集運搬業(以下、産廃業)の許可申請の際、定款の事業目的の記載で疑問になるのはやはり「産廃業」の文言が必要かどうかではないでしょうか。
実は、「産廃業」の文言を記載することを明確に求める自治体は一部です。
※関西で言えば、兵庫県、大阪府、京都府においては「産廃業」という明確な文言は求められません。ただし、変更されることもあり得るので必ず自治体に確認してください。
その他の自治体は、事業目的の表現をまったく問わない自治体もありますし、次の更新時までに「産廃業」の文言を入れるように指導を受けるだけで、許可自体は下りるという自治体もあります。
また、「前各号に附帯する一切の事業」という文言だけで大丈夫なケースもあります。
これらのうち、どれに該当するのか事前に自治体で確認してください。
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定款の変更が必要になるケース
すでに会社を設立しており、これから許可を取るという人も少なくないのではないでしょうか?
ここで注意しておきたいのが、事業目的に問題がなくても、他の事項に変更がある場合です。
例えば、住所や役員構成、決算期に変更があれば、定款の変更をしなければ申請は受け付けてもらえません。
変更されたかどうかは、他の添付書類である登記事項証明書や決算書で分かってしまうことがあるので、変更事項があるかどうかよく確認してください。
事業目的に「産廃業」を入れておくのが望ましい
もし、これから定款を新しく作る、もしくは定款を変更するのであれば、信用面からも「産業廃棄物収集運搬業」の文言を目的に明確に入れておくのが望ましいです。
また、廃棄物の出る排出元(荷積地)と廃棄物の運搬先である処分場(荷降ろし地)の都道府県が異なれば、それぞれの都道府県で許可を取得しなければなりません。
事業を広く展開していこうとなるとそれだけ複数の自治体の許可が必要となってきます。
許可取得後、他の都道府県で許可が必要となった場合、「産廃業」の文言を入れることが要件となっていれば、定款を変更しなければなりません。
また、産廃業にかかわらず、将来始める予定のある事業があればそれも積極的に記載しておくべきです。定款に記載している事業はすぐに行う必要はないからです。
後で事業目的を加えるとなると、定款を変更し登記もしなければならず、非常に面倒な作業が発生してしまいます。
産廃業許可と違い、他の許認可、特に建設業許可や古物商許可の場合は、「解体工事業や古物営業」等の文言が事業目的になければ許可は下りません。これら2つは産廃業と非常に関連性が強い業界です。
例えば、廃品回収業を始める場合、産廃業許可と古物商許可の両方取るというケースがほとんどです。
後から古物商許可も取るという人は必ず古物営業に関する文言を入れておいてください。
定款を提出するときの注意点
定款は原本をコピーして提出します。
電子定款の人もデータをそのままコピーして提出するだけで全く問題ありません。
コピーには契印と原本証明が必要です。
契印の方法
まずは定款をプリントアウトしましょう。
サイズは特に決まりはありませんので、A4でOKです。
プリントができたら下の画像のように左端を2か所ホッチキスでとめます。
定款であることを証明するためにすべてのページに発起人のハンコで契印します。
下の画像ようにページ間に契印してください。※すべてのページにします。
1ページずつ契印するのが面倒なら下の画像のように製本テープを貼って契印することもできます。
ホッチキスが隠れるように製本テープを貼ります。契印は裏面だけでOK!
これだけですべてのページに契印したことになります。
※製本テープがない場合は紙を適当な幅に切って貼り付けても大丈夫です。
※製本テープは押印できるタイプのものを選びましょう。
発起人が複数いる場合はその分契印が必要です。二人いればページごとに二人分の契印が必要です。
原本証明のやり方
原本証明とは原本の写しであることを証明することで、写しの最後のページに以下のように記載すれば大丈夫です。
まとめ
いかがでしたか?
定款の事業目的に「産業廃棄物収集運搬業」の文言が明確に入っていることを求める自治体は一部ですが、この記事で解説したように定款の事業目的は自治体によって取り扱いが違ってきます。
これは、産業廃棄物収集運搬業許可の申請先に多くのローカルルール(自治体独自のルール)が存在するからです。
この記事では、これから会社を設立する人、または定款を変更するという人は、信用面からも事業目的に「産業廃棄物収集運搬業」の文言を入れておくことを推奨しました。
また、許可は排出元(荷積地)と処分場(荷降ろし地)の自治体が異なれば、複数必要となります。
A県では「産業廃棄物収集運搬業」の文言は求められなくても、後日B県で許可を取る際に求められるということもなきにしもあらずです。