行政書士に依頼をするかどうかは、各自の置かれている状況によって決まります。

各自状況に合わせて行政書士に依頼をするメリットとデメリットを天秤にかけてよく検討する必要があります。

また、多くの人が思い浮かぶ行政書士に依頼をするメリットといえば、「時間と手間が省ける」というものではないでしょうか?

もちろんそれが目に見えて分かりやすいものなのですが、産業廃棄物収集運搬業許可に関してはそれだけではありません。

メリットは他にもあります。

この記事では許可の取得を行政書士に依頼をした場合のメリットとデメリットについて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

行政書士に依頼をするメリット

行政書士に依頼をするメリットは次の6点があると個人的に考えています。

  1. 最短で許可が取得できる
  2. 役所との打ち合わせを代行してくれる
  3. 役所から取り寄せる書類を代わりに集めてくれる
  4. 許可品目の選択ミスを防げる
  5. 許可取得の可能性が高まる
  6. アフターフォローが受けれる

これらのメリットがあるかどうかは自身の置かれている状況によって異なってくるのではないでしょうか。

例えば、急きょ許可が必要になり、今すぐ取らなければならないという人や複数の自治体で許可が必要な人にとって、行政書士は心強い存在になるのではないでしょうか。

複数の自治体で許可が必要?

許可は廃棄物の収集場所と運搬先の都道府県が異なれば、それぞれの都道府県で必要となります。広域に渡って複数の都道府県で事業を展開する人はそれだけ多くの許可が必要となるということです。

その際注意したいのが、各都道府県の申請先にはにローカルルール = 独自のルールがあることです。

各都道府県によって要件や必要書類が異なってくることが多いので、それだけ手間と時間がかかることになります。

このような状況であれば、行政書士に依頼をしたいという人もいるでしょう。

 

最短で許可が取得できる

許可申請をするには、要件の確認、書類集めなどしなければならないことが沢山あります。

※詳しくはこちらの産業廃棄物収集運搬業許可とは?|初心者でも抵抗なく理解できる全体像のポイントで解説しています。

それにはまず、根拠法となる廃棄物処理法を理解し、役所との事前相談も必要となります。

慣れていなければ書類集めはもちろん、要件を確認するだけでも案外手間のかかる作業となります。

また、申請をしても書類に不備があれば、許可の申請自体受け付けてもらえません。

許可申請をすると、およそ60日間の審査期間がありますが、この審査期間は「不備のない書類」が提出されてから60日という意味です。

書類等に不備があれば、申請自体がやり直しとなり、審査は開始されませんので、さらに多くの日数を費やすことになってしまいします。

 

行政書士は許可を取ることについてはプロですので、自分でやるより最短で効率的に手続きを進めていくことができるはずです。

1日でも早く許可を取らなければならないという人は、行政書士に依頼をするのは大きなメリットとなるのではないでしょうか。

 

役所との打ち合わせを代行してくれる

申請手続きは役所で行いますが、役所の窓口は平日しか受付てもらえません。受付時間も9時から17時までしか対応してくれないことが多いので、本業のある人は仕事を休む必要がでてきます。

また、許可申請が初めての場合、役所には事前相談も含め何度も行くことになると思います。

前述のとおり、申請をしても書類や申請書の記載に不備があれば、受け付けてもらえません。

始めてであれば、通常は申請書類に不備がなく1回目の来所で受理されるということはなかなかないと思います。

本業に専念をしたいなど「時間」を金と捉えれば、行政書士に依頼をするのも1つではないでしょうか。

 

役所から取り寄せる書類を代わりに集めてくれる

国家資格者である行政書士は、役所から集める書類に限ってですが、本人に代わって代理で集めることが可能です。

許可申請の必要書類には、役所から取り寄せるものも含まれます。

前述のとおり、役所は平日しか受け付けしてもらえませんので、この書類を集めるということだけでも本業があれば仕事を休まなければなりません。

また、書類によっては法人なら役員の数だけ必要となるのでさらに手間がかかってしまいます。

手続きもそうですが、本人に代わって役所に行ってくれるというのが、やはり行政書士を利用する一番のメリットではないでしょうか。

※必要書類についてはこちらの産業廃棄物収集運搬業許可の必要書類は?|集め方と注意点で詳しく解説しています。

 

許可品目の選択ミスを防げる

許可の取得で何としても避けたいのが、許可品目(扱う産業廃棄物の種類)の選択を間違えることです。

産業廃棄物は全部で20種類ありますが、許可はその種類ごとに許可品目として取得しなければなりません。

一度の申請で複数の許可品目の選択が可能ですが、ここで選択を間違えてしまうと、許可を取得しても事業が行えません。

例えば、建設廃棄物である「がれき類」と「コンクリートくず」はよく混同されやすいです。がれき類を扱うのに、間違えて許可品目をコンクリートくずにしてしまうと、「がれき類」は当然運搬できません。

もし、許可品目を後で変更するとなると、変更許可申請とういう手続きが必要となります。

この変更許可申請の手続きや申請にかかる費用は新規申請とほぼ変わりませんので、選択ミスは絶対に避けなければなりません。

廃棄物処理法に精通している行政書士ならこの点は機転が利くので、選択のミスは防げるでしょう。

また、今後取り扱う予定のある廃棄物はあるかなど法的な観点から幅広い視野でアドバイスが可能です。

後で許可品目を変更・追加するには新規申請と同じくらいの労力と費用がかかることになるので、新規申請の際に、取扱う予定のある産業廃棄物は許可品目としてまとめて取得しておく必要があります。

 

許可取得の可能性が高まる

一見、許可の取得が難しい状況に見えても、実績のある行政書士なら経験値として様々なパターンを熟知していますので、解決の糸口が見つかることも少なくありません。

例えば状況によって、手引きに書かれている以外の書類が必要になることもあります。

どちらかと言えば、役所の人から手引き以外の書類を提案してくれるということはあまりありませんが、役所やあなた自身が考えもつかないような解決策を提案するのが行政書士の腕の見せどころです。

「過去の書類をなくしてしまった」、「許可を取るのは厳しいかもしれない」という人にとっては行政書士は心強い存在になると思います。

 

アフターフォローが受けれる

更新・変更届・変更許可

行政書士によっては、許可取得後に必要となる更新申請、変更届、変更許可申請についての注意点などもしっかり教えてくれます。

行政書士事務所によっては、更新や変更届の代行を再度依頼する際には割引をしてくれることもあるようです。

また、更新に備えて、期限管理をしてくれる行政書士もいます。更新が近づいてくると、連絡事項として、再度、「更新の講習会の受講」について伝えてくれたりします。

 

コンプライアンス指導を受けることができる

産廃業界は許可取消処分をはじめ、行政処分や行政指導が多いことも特徴です。また、規制強化や罰則規定の追加など法改正も多くあります。

根拠法となる廃棄物処理法は、非常に厳しい法律です。本人はその気がなくても知らず知らずのうちに法律違反となっていたということも少なくありません。

許可を取消されると、5年間は許可を取り直すことはできません。

このような取消しなどの行政処分から守るために顧問契約としてコンサルティングを行っている行政書士もいます。

 

 

行政書士に依頼するデメリット

ここまで、行政書士に依頼するメリットについてみてきましたが、逆にデメリットはどうでしょうか。

お金がかかる

行政書士に依頼をする一番のデメリットは、やはりお金がかかってしまうことです。

行政書士に支払う報酬額の相場は、だいたい10万円前後となります。

平均額はおよそ9万円弱ではないでしょうか。

ご自身の状況をよく分析し、これらの報酬額に見合うかどうかよく検討してください。

行政書士によってはすべて丸投げで代行してくれるのはもちろん、「書類集めと作成」のみを代行してくれることもあります。

また、「許可が取れなければ、返金保証付き」といった行政書士事務所も結構ありますので、色々検討してみてください。

 

法律を勉強する機会を失う

産廃業界は、許可取消処分をはじめ、行政処分や行政指導が多いということをお話しました。

許可を取得したらこっちのもの、それでおしまいというわけではなく、取消処分などから身を守るために根拠法となる廃棄物処理法の理解は必須です。

しかし、許可の手続きを丸投げすると、この廃棄物処理法の大枠の理解を阻害することになりかねません。

許可を取るということは、許可制度を理解するとともに、関係法令である廃棄物処理法を理解することでもあるからです。

行政書士に依頼をするのは、あくまで手続きの時間と手間が省けるということです。行政書士に依頼をした場合は、自分で法律を勉強することも必要です。

 

まとめ

時間的に余裕があるというのであれば、個人的には自分でやるのが一番だと思います。

しかし、各自の置かれている状況によっては行政書士に依頼をすれば大きなメリットを享受できるでしょう。

ただし、その場合でも許可取消などの行政処分から身を守るために関係法令である廃棄物処理法の理解は必須です。

できれば行政書士に法律の大枠を教えてもらいましょう。