おそらく、あなたは優良産廃処理業者の認定を受けようと考えているか、もしくは、排出事業者側で優良産廃処理業者の選定を検討しているのではないでしょうか?
優良産廃処理業者認定制度には、産廃業者と排出事業者双方にとって多くのメリットがあります。
ただし、優良産廃処理業者認定制度を利用するにあたっていくつか疑問点があると思います。
・どうやって認定を受けるの?
・優良産廃処理業者はどうやって探すの?
・優良産廃処理業者認定制度の具体的なメリットは?
この記事では、優良産廃処理業者認定制度の概要からよくありがちな疑問点までお答えする内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
優良産廃処理業者認定制度とは?
優良産廃処理業者認定制度とは、通常の許可基準よりも厳しい基準をクリアした優良な産廃業者を、都道府県や政令市が審査して認定する制度です。
そもそも、なぜ優良産廃処理業者認定制度は導入されたのでしょうか?
廃棄物処理法は非常に厳しい法律ですが、排出事業者にとって「優良な産廃業者を見つけにくい(情報が少ない)」という状況がありましたし、一方、産廃業者からは「真面目にやっている業者が評価され、努力が報われるような制度にしてほしい」という意見もありました。
このような状況から、優良な産廃処理業者の情報を積極的に公開をしていこうというのが、そもそもの始まりでした。
どうやって認定を受けるの?
優良な産廃処理業者として認定を受けるには、原則、産業廃棄物処理業許可の更新時に、都道府県・政令市に審査を受け、優良基準をクリアする必要があります。
優良認定を受けるには次の5つの基準を満たす必要があります。
1、実績と遵法性
2、事業の透明性
3、環境配慮の取り組み
4、電子マニフェスト
5、健全な財務体質
1つずつ見ていきましょう。
実績と遵法性
5年以上の産業廃棄物処理業の事業実績があり、その間に改善命令等の不利益処分を受けていない。
事業の透明性
法人の基礎情報、許可内容、廃棄物処理施設の能力や維持管理状況、産業廃棄物処理状況(過去3年間の処分の受託量など)などインターネット上で一定期間継続して公開し、かつ、所定の頻度で更新している。
環境配慮の取り組み
環境に配慮した事業を目指して、ISO14001、エコアクション21等の認証を受けている。
電子マニフェスト
電子マニフェストシステムに加入している。
健全な財務体質
・直前3年の各事業年度のうちいずれかで自己資本比率が10パーセント以上であること。
・直前3年の各事業年度における経常利益金額等の平均値が零を超えること。
・事業税など税金を滞納していないこと。
優良産廃処理業者に認定されるメリットは?
処理業者にとって次のようなメリットがあります。
・許可証に「優良」の記載がされる・・・認定を受けていない処理業者と差別化ができます。
・優良認定を受けると産廃情報ネットに会社の情報が広く公開される・・・処理委託先として受託機会が増えます。
・産業廃棄物処理業の許可の有効期間が2年間延長されます・・・(5年から7年に延長)
・許可の更新時に提出する添付書類が一部省略される・・・※各自治体の判断によります。
・財政投融資における優遇措置が受けられます。
・環境配慮契約法に基づき国などが行う産業廃棄物の処理に係る契約で有利な取り扱い・・・入札に参加する際に落札の可能性が高まります。
排出事業者が優良認定業者を選ぶメリットは?
産業廃棄物処理業界においては、排出事業者に対する責任は年々強化されている傾向があります。
このような状況で、排出事業者にとって一番大きなリスクは不適正処理・不法投棄をされることです。
特に不法投棄をされると、原状回復にはコストや時間がかかることはもちろんですが、何より社会的信用を失くしてしまいますよね。
この業界で、一度失った信頼を取り戻すのは非常に困難です。
こういった背景から、排出事業者は、より信頼できる処理業者をいかにして見つけることができるかにかかっています。
前述のとおり、優良産廃処理業者に認定されるには極めて高いハードルをクリアしなければなりません。
このような厳しい基準をクリアした処理業者に委託すれば、不適正処理や不法投棄をされるリスクが極めて少なくなるというメリットがあります。
また、安心して処理を任せれるだけでなく、環境に配慮した事業を行っている企業としてアピールできます。
優良産廃処理業者はどうやって探すの?
優良認定業者を探すには、産廃情報ネットのさんぱいくんから優良認定業者の様々な情報を確認することができます。
会社情報の中にある「良産廃処理業者認定制度に係る公表事項」をクリックすれば、産業廃棄物の受入量や処分量、許可証の写し、財務諸表など企業の様々な情報が閲覧できます。
優良産廃処理業者認定制度を鵜呑みにしない
優良産廃処理業者は認定を受けるために一定の厳しい審査をクリアしていますが、だからといて優良産廃処理業者認定制度を鵜呑みにしないようにしてください。
優良事業者の認定を受けていることが、100%違法行為をしないことを約束するものではありません。
優良産廃処理業者認定制度は、ある程度は信頼を担保できるものですが、他の判断材料として委託契約書やマニフェスト、現地確認なども取り入れて総合的に判断をするようにしてください。
まとめ
いかがでしたか?
優良産廃処理業者認定制度は、処理業者が遵法性、透明性、環境への取組等に対して厳しい基準をクリアする必要があるので、レベルの高い処理業者としてアピールすることができます。
一方、排出事業者にとっては、優良な処理業者を選ぶことで、排出事業者責任を確実に果たすことができ、不法投棄などのリスクを回避することができます。
また、優良産廃処理業者認定制度は、このようなメリットはもちろん、なによりも優良な産廃業者と優良な排出事業者がパートナーシップを組むことで、産業廃棄物処理業の質をより高めて産業廃棄物処理業界の発展に貢献できることも非常に重要なことです。