「不用品」の回収と言えば、一般家庭の「不用品」をイメージしますが、その回収の際に必要になるのが「一般廃棄物収集運搬業許可」です。

しかし、諸事情からこの一般廃棄物収集運搬業許可の取得は極めて難しくなっています。

当然ですが、産業廃棄物収集運搬業許可では、一般家庭から出る「一般廃棄物」は運搬できません。

そうなると、不用品回収業をするにあたって産業廃棄物収集運搬業許可の出番はないように思えますが、取得すると実は大きなメリットがあります。

産業廃棄物収集運搬業許可の取得は比較的容易ですし、不用品回収業者としてビジネスの幅を広げていくには、必須の営業許可です。

この記事では、不用品回収業するにあたって、産業廃棄物収集運搬業許可の取得のメリットを解説しています。また、不用品回収業に必要となる他の営業許可についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

産業廃棄物収集運搬業許可を取るとどんなメリットがあるの?

法人の不用品を回収できる

不要品回収業は、何も一般家庭だけではなく、法人相手に行うこともあります。

例えば、店じまいや事務所移転の際に、不用品は出てきます。

この際も、廃棄物が出ますが、企業やお店など事業活動に伴って排出される廃棄物は「産業廃棄物」となります。

産業廃棄物を運搬するには「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要となります。

法人相手に事業を定期的に展開していくには必ず必要になりますし、不用品回収業という枠ではなくても、産業廃棄物の運搬ができれば、当然ビジネスとしての幅が広がります。

また、産業廃棄物収集運搬業許可は、要件さえ満たせば誰でも取得できます。

 

一定の条件で家電リサイクル法上の家電4品目を回収できる

家電リサイクル法の対象となる次の4品目については、産業廃棄物収集運搬業許可1つで、産業廃棄物はもちろん、一般家庭から排出される一般廃棄物も回収することができます。

  • エアコン
  • ブラウン管テレビ、液晶・プラズマテレビ
  • 冷蔵庫・冷凍庫
  • 洗濯機・衣類乾燥機

家電4品目に限ってですが、産業廃棄物収集運搬業許可1つで一般廃棄物まで運搬できるのは大きなメリットですし、利益を上げていくにはやはり必須の許可になるのではないでしょうか。

ただし、条件として小売業者から委託を受けた場合に限ります。

自ら直接、個人宅から回収することはできません。あくまで小売業を介して行う必要があります。

ちなみに、小売業者とは、家電量販店や電気屋、リサイクルショップ、質屋などのことです。

これらの小売業者と積極的に提携すれば、事業の幅を広めることができます。

家電リサイクル法の詳細についてはこちらの家電リサイクル法|産業廃棄物収集運搬業者も一般廃棄物を運搬できる?で詳しく解説しています。

 

不用品回収業に必要となる他の営業許可は?

不用品回収業というビジネスをトータルで捉えると、先程の産業廃棄物収集運搬業許可の他に、一般廃棄物収集運搬業許可と古物商許可が必要となります。

1つずつ見ていきましょう。

 

一般廃棄物収集運搬業許可の取得は極めて難しい

不用品回収業というと、まず思い浮かぶのが、一般家庭の不用品の回収です。

一般家庭から出る廃棄物のことを「一般廃棄物」といいます。

この一般廃棄物を運搬するには、一般廃棄物収集運搬業許可が必要になりますが、諸事情により取得するのが、非常に難しいです。

基本的に一般廃棄物の回収・運搬は、自治体がすることになっていますが、自治体が処理しきれないなど緊急の場合に限って、許可業者を新規で募集してきました。

そして今現在、飽和状態といってもいいくらい既存の一般廃棄物収集運搬業者がいます。

今後は、許可の取得は厳しいので、一般廃棄物の回収は既存の一般廃棄物収集運搬業者に委託することになります。

 

古物商許可があれば不要品は回収できる

では、一般家庭から出る不用品は一切回収することはできないのでしょうか?

一般家庭から出る不用品は、何も廃棄物だけではありません。

一般家庭の不用品のなかには、「不要品」が混じっています。

不要品というのは、お客さんにとって不要というだけであって、実際は価値のあるもの = 「有価物」のことです。

この不要品 = 「有価物」は古物商許可があれば、回収することができます。

気をつけたいのは、廃棄物の場合は、お金をもらって回収しますが、有価物の場合は、お金を出す = 買い取って回収をする点です。

買取った不要品は売却することで利益を得ます。

これから、不要品回収ビジネスに参入する人にとって、古物商許可は必須と言えます。

 

私は、行政書士として廃棄物処理法だけでなく、古物営業法も専門としており、古物営業法に関するホームページを運営しています。

このホームページでは古物商許可の取得に必要な知識や古物営業法の知識を持て余すことなく発信しています。

以下の記事は古物商許可を取得するにあたって必要な知識を紹介しています。

古物商許可とは?|初心者でも3分で理解できる全体像

また、以下の記事は不用品回収業に関する記事です。この記事とかぶる内容もありますが、廃品回収業と遺品整理業に焦点を当てて解説しています。

廃品回収業を行うには古物商許可が必須!|廃棄物許可の必要なケースまで解説

古物商許可は遺品整理業に必須か?

 

まとめ

この記事では、不用品回収業者としてビジネスの幅を広げていくには、産業廃棄物収集運搬業許可の取得は非常にメリットがあるということを解説しました。

特に、家電4品目を産業廃棄物収集運搬業許可1つで、一般廃棄物まで回収・運搬できることは非常に大きなメリットです。

そして、不用品回収業を始めるのなら手順としては、まず古物商許可の取得です。

なぜなら、不用品回収業の基本は、回収したものを売却することで利益を得ることになるからです。

古物商許可と産業廃棄物収集運搬業許可は要件さえ満たせば必ず取得できるものです。

それぞれの事業形態にもよりますが、事業を大きく展開していくのなら、この2つの営業許可は必須です。