廃棄物処理業者にアクシデントが起こってしまい、委託していた廃棄物の処理が正常にできなくなってしまうことがあります。
その際に、処理業者から「処理困難通知書」というものを受け取ることになりますが、受け取った後にどう対応すればいいのか分からないという人も少なくないのではないでしょうか。
具体的に言うと、「措置内容等報告書」というものを都道府県知事に提出することになるのですが、提出の前に必要な措置を講じる必要があります。
この必要な措置を講じるには、早急な判断と行動が必要となってきます。
この記事では、「処理困難通知書」を受け取った場合の対処法について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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処理困難通知とは?
処理困難通知とは、別称「ギブアップ通知」とも呼ばれ、請負った廃棄物の処理ができなくなったことを排出事業者に知らせる通知のことです。通知は10日以内に書面により行われます。
この「処理困難通知書」は、さまざまな条件のもとで出すことになりますが、通知が必要となる事由は以下のとおりです。
・処理施設で事故が発生し、未処理産業廃棄物の保管数量が上限に達した
・事業の廃止(事業範囲の全部又は一部を廃止)
・施設の休廃止
・最終処分場の埋め立て処分の終了
・欠格要件に該当
・事業の停止命令
・産業廃棄物処理施設の取消し
・産業廃棄物処理施設の使用停止命令、改善命令によって、未処理産業廃棄物の保管数量が保管上限に達した
処理困難通知を受け取った後の対応は?
処理困難通知を受け取った排出事業者が取るべき行動は、通知の出された理由にもよりますが、共通して言えることは次の5つです。
- 委託の中断
- 廃棄物の状況確認
- 自治体に相談する
- 廃棄物の緊急処理
- 措置報告
1つずつ見ていきましょう。
委託の中断
処理困難通知を出している処理業者には、新たに廃棄物の処理委託を行わないようにします。
何を当たり前のことをと思われるかもしれませんが、社内で情報が行き届いておらず、うっかり委託を続けてしまうということもなきにしもあらずです。
廃棄物の委託が新たに行われないことをまずは優先にしてください。
廃棄物の状況確認
すでに委託した廃棄物がどのような状況にあるのかを確認します。
どのような状況にあるかというのは、つまり、処理が完了しているかどうかです。
確認する確実な方法はやはりマニフェストです。
処理業者からマニフェスト(中間処理報告・D票、最終処理報告・E票)が返送されているかを確認します。
もし、返送されていなければ、処理業者に連絡し、マニフェストの返送を促します。マニフェストが返送されていないというだけで、処理は無事に完了している可能性もあります。
ただし、マニフェストが返送されていても、不適正な処理がされていないとは言い切れません。
マニフェストだけではなく、処理施設を訪れて自分の廃棄物の処理状況を直接確認することも大事です。
自治体に相談する
状況によっては、処理困難通知を出した処理業者を管轄する自治体に相談することも必要です。
特に、多数の排出事業者の廃棄物が混在してしまっているケースでは、自治体に指示を受ける方がいいでしょう。
廃棄物の緊急処理
委託している廃棄物の処理が完了していなければ、緊急に処理をする必要があります。
処理をする方法は、状況により異なりますが、次の2つの状況が考えられます。
- 自ら排出した廃棄物が特定できるケース
- 自ら排出した廃棄物が特定できないケース
1つずつ見ていきましょう。
自ら排出した廃棄物が特定できるケース
処理困難通知を出した処理業者から廃棄物を返却してもらい、他の廃棄物処理業者に新たな処理を委託します。
注意点としては、処理困難通知を受けてから別の処理業者を見つけるということは絶対に避けたいところです。
なぜなら、後述する措置内容等報告書は通知を受けてから30日以内に提出しなければならないからです。
期限に間に合うように、緊急に備えて事前に別の処理業者を確保しておくことが必要です。
自ら排出した廃棄物が特定できないケース
自ら出した廃棄物が特定できなければ、当然ですが持ち帰ることはできません。
この場合、排出事業者側で別の処理業者に委託することはできませんので、再委託をさせる必要があります。
つまり、再委託基準に基づき承諾を与えることで、処理困難通知を出した処理業者から他の処理業者に再委託をさせます。
※産業廃棄物の再委託をすることは、原則禁止されていますが、緊急事態の場合等、例外的に1度だけ行うことができます。
再委託を行うには、いくつかの決まりごと = 再委託基準を守る必要があります。再委託についてはこちらの産業廃棄物収集運搬業|再委託の禁止とその例外のケースを解説!で詳しく解説しています。
措置内容等報告書の提出
最後に、前述の措置内容を措置内容等報告書に記載しまとめあげます。
この措置内容等報告書は、処理困難通知を受け取った日から30日以内に提出しなければなりません。
提出先は、排出事業者を管轄する自治体となっています。
まとめ
いかがでしたか?
処理困難通知の制度の目的は、未処理の廃棄物が放置されないようにその対応を排出事業者に求めることにあります。
そして、処理困難通知を受けると排出事業者は、状況によって様々な対応が必要となります。
いざ、そのような状況になっても慌てふためくことのないように取るべき対応をシュミレーションしておくことも重要です。